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第2回:就任2年目を迎えて ~伊東センター長インタビュー~

このページでは2ヶ月に1回、JLCの教育・研究について、さまざまなスポットから焦点を当てていきます。
第2回は、就任2年目を迎えた伊東祐郎センター長に、現在の心境や今年度の決意をお話いただくべく、センター長室でロングインタビューを試みました。

聞き手(以下Q):本当にご多用のところ、お時間作っていただいてありがとうございます。今日はよろしくお願いいたします。

伊東センター長(以下A):どうぞどうぞ、何でも聞いてください。

Q:それではまず、昨年1年を振り返って、センター長としてのご自身が得られた手ごたえのようなものがありましたら、お聞かせ願えますか。

A:手ごたえ…、そうですね。まず大学全体の中での、JLCの役割、それから文部科学省との関係、こういったことは今までも分かってはいるつもりだったんですが、センター長になって初めて見えてきたように思います。

Q:そうですか。では反対に、昨年一年で最も苦労された点はどんなことだったんでしょうか。

A:一番大変だったのは、やはり震災への対応でした。ご存知の通り、東日本大震災は3月11日に起きたわけですが、その時点では自分はまだセンター長ではなかったわけで、これが学内の他の執行部の先生とは違うところです。震災直後はどうしても目先の対応に追われて重要な点を決めることができず、それが4月1日の就任当日から一気に押し寄せてきた感じです。センター長として新しく加わった仕事に加えて、それ以上の優先順位である、センターとしての震災への取り組みがあって、これは昨年度の一年間、ずっと引きずっていた感じです。一方で、災害の取り組みに関する新しいワーキンググループを作ったり、留学生と日本人学生の協同による震災対策を考えるなど、新しい試みも生まれたので、これを育てるサポートをしなくては、とも思っています。

Q:新学部(平成24年度から外国語学部が言語文化学部・国際社会学部の2学部に改組)との関係はどうだったでしょうか。

A:これは、震災への対応もほぼ終わった年度末に起きたことです。何しろ、あと数ヶ月で新学部が発足し、グローバル・コミュニケーションコースが開設、という段になって、突然、学部側からコースへの出講協力の依頼があり、年末年始はその対応策を思案することに費やしました。まずはそのコースの全体像と実態を把握し、次にこちらの体制を組みなおして何ができるかを考え、それから両方のすり合わせに入る、というプロセス、まあ本来は1年以上かけてするこの流れを、実質3ヶ月足らずでやらなければならなかったのですから、これもかなりの困難でした。

Q:そのことから見えてきた、JLCや大学が抱える日本語教育の問題点と言うのは、どういうこものなのでしょうか。

A:一言で言えば、大学というレベルで日本語教育研究を一体化させる必要性がある、ということです。学部があり、大学院があり、センターがあり、という個々のレベルでの日本語教育、日本語研究はあるわけですが、これをさらに有機的に機能させ、強化、高度化させるべきだと思いました。このセンターは2004年に旧・住吉町キャンパスからこの府中キャンパスに移転して統合がなされたわけですが、「統合した後に目指すは、融合でしょう」というのが、率直な感想です。

Q:センター長としては、その構造上の課題にどう取り組んでいくおつもりですか。

A:問題はそこです。年末からの課題であったグローバル・コミュニケーションコースへの出講にようやくセンターとしてのめどがついたので、これを機会に、センターとしての発信や組織間・部局間の発信に繋げていきたいと思っています。グローバル・コミュニケーションコースを受講するのは学部の新入生が多いですから、JLCの教育や研究について知ってもらうことの意義は大きいでしょう。

Q:なるほど。それでは伊東センター長は、他の部局とは関わりないセンター独自の将来をどのように描いていらっしゃいますか。

A:このセンターは、学内の一部局という側面があり、グランドデザインの一つである「日本語教育の世界的拠点」を実現する役割があります。しかしもう一方で、別の顔、と言ってはなんですが(笑)文部科学省、ひいては日本国の留学生政策を担う組織という側面もあります。こういう組織にとって、私が大切だと思うのは「発信力」です。昨年度は統合20周年のシンポジウムもありましたが、このセンターがいかなる教育・研究をしているのか、それがどのように社会に貢献しているのかを、私たちはもっともっと発信していく必要があり、私はセンター長としてそれを後押ししなければならないと感じています。

Q:世の中、社会にJLCをもっと知ってもらう、ということですね。

A:はい。でも、それだけではないんです。というのは、発信することによって、JLCはそれに見合うフィードバックが得られます。この業界は、社会は。ひいては日本は日本語教育についてどのように考えているのか、どのような期待があるのかは、発信し、その反応を受け取ることで初めて分かります。それによって私達の将来ビジョンも描けるわけです。国立大学に求められているのは、私は例えば東京ディズニーランドのような、顧客優先の思想だと思います。顧客とは学生や学習者であり、父母であり、ひいては日本社会であり、我々のような組織にとっては国際社会ということです。構成員である教員には、そこの期待に応えられるよう、俯瞰力と独創力を発揮しながら、柔軟かつ主体的に関わっていってほしいし、それをサポートするのがセンター長の役割だと考えています。

Q:ありがとうございました。最後に、個人的な質問なのですが、これまで以上にご多忙な立場に立たれて、ストレスとかもあると思いますが、何かいい解消法はあるのでしょうか?

A:そうですね(笑)、まずここ(センター長室)や学内ではセンター長としての仕事に全力で取り組んで、帰宅したら、もうそれは家には持ち込まないことにしています。それから、ビジネス書やビジネスマンの指南書などを最近はよく読みます。こういう仕事について、初めて納得できることがいろいろあって、参考になります。

Q:あのぅ、それ、ストレス解消に、なりますでしょうか(笑)。

A:あ、そうか(笑)。あとは、そうですね、休みのときは仕事とは関係ない人たちと会うようにしています。それとお酒を、少しだけ。

Q:健康にご留意なさって、2年目のセンター長のご大任、よろしくお願いいたします。

A:はい、ありがとうございました。

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