東京外国語大学留学生日本語教育センターは、日本全国の国立大学の学部や、全国の大学院に進学するための、国費留学生を対象とした予備教育機関です。日本語と、後の学習に必要な基礎科目の教育を行い、日本での大学生活の、重要な第一歩となる教育を行っています。あわせて、教材開発や、全国共同利用拠点として、他大学の日本語教育への協力を行っています。歴史的にも古く、日本の留学生教育の創成期から、その任を負い続けています。伝統の積み重ねの上で、留学生教育のプロフェッショナルを自負する教員たちで、その事業を進めて来ました。
この歴史あるセンターのセンター長に本年4月から就任した村尾誠一です。私の専門は、中世(12世紀から16世紀)を中心とする和歌文学の研究であり、大学院や学部で多くの留学生は教えながらも、センターの教育には、今まで関わって来ませんでした。そういう私がセンター長となるのは、組織のあり方が変わったためです。センターの教員たちは、すでに、本学の日本語学・日本語教育学および日本に関する諸学を専門とする教員を糾合した、国際日本学研究院という大学院に置かれた組織に所属していました。大学院総合国際学研究科の教育も担ってきました。その研究院が、今年から全体で、このセンターの教育を支える体制になったからです。
さらに、研究院は、本学に第三の学部として今年発足した、国際日本学部の教育にも責任を持つことになりました。学部発足にともない、従来センターでも大きな部分であった、交換留学生や研究生など全学を対象とする全学日本語のコースが、基礎日本語として、学部の中に組織し直されました。従来のセンター教員の何人かは、そこでの教育を行うことになりましたが、所属としては国際日本学研究院に一体であり、センターから離れたわけではないのは、言うまでもありません。
留学生日本語教育センターは、大きな変革期に来ています。しかし、留学生の日本語能力を磨き、後の学習に必要な基礎を涵養するという使命に変わりはありません。そして、それを、より豊富な人材により担うことができる状況になったことは、喜ばしいことです。日本の留学生教育をリードしてきた伝統を背景に、さらに、ステップアップした教育機関としてここでの教育を展開して行きたいと願い、日々努力を重ねるつもりです。本センターの今後にご注目ください。