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教員インタビュー

今回ご紹介する先生は、世界社会言語センター所属の渋谷博子先生です。JLCでは主として国費学部留学生プログラム(1年コース)の授業/補講のご出講と教務に携わってらっしゃいます。

第21回 渋谷博子先生

学生は教師が自分たちの前に立てば、その先生がどんな人か、必ずわかるものです。

インタビュアー(以下、I) 本日はお忙しいところ、インタビューをありがとうございます。まずご出身ですが、どちらでいらっしゃいますか。

渋谷先生(以後S)生まれは仙台なんですが、親の仕事の関係で横浜の鶴見、神奈川の相模原、そして大阪の岸和田と引越しを続けました。修学旅行にも2回行っています(笑)。中学からは横浜の戸塚で、あとはずっと戸塚でした。

I)それぞれの土地の思い出もいろいろあるんでしょうね。

S)大阪の学校で修学旅行に行ったとき、宿泊先について友達とおみやげを見せ合っていたら、私以外の全員が値切って買っていました(笑)。これはカルチャーショックでした。

I)中高時代はどんな生徒だったのですか。

S)ごく平凡な存在だったと思います。演劇部に入ったり、テニス部に入ったり...。読書も、特別に好きな作家とかはいなくて、赤川次郎とか、灰谷健次郎などを読んでいました。そんな時、進学のガイド誌に日本語教師のことが出ていて興味を持ち、進学した二松学舎大学でも、副専攻として日本語教育の単位を取得しました。

I)着々と現在に向かって夢を築いてきたのですね。

S)ところがそうでもなくて...。大学4年のときまで迷っていて、高校へ国語の教育実習に行き、日本語学校にも実習に行ったんですけど、日本語学校のほうがずっと楽しかったんです。学習者は大人だし、インタラクションもあるし、こういう世界があるんだ、と改めて目を開かれて、ここで決心しました。

I)じゃあ卒業後、その学校で仕事を始めたのですか。

S)いえ、私のころは就職一般に「氷河期」と言われるころで、日本語学校の就職もなかなか難しかったので、もっと勉強するために、杏林大学の大学院に進学しました。院生のほとんどは現職の先生方で、とても刺激を受けました。あと地元のボランティアグループでも教えたりしていました。

I)では大学院の終了後から、本格的な日本語教師の道を歩まれたわけですね。

S)そうです。横浜や新大久保の日本語学校で非常勤をしました。そのときに、以前ボランティア教室で知り合った先生が、横浜で別の日本語学校を開くというので、初めは非常勤、2年目からは専任になりました。

I)国内の日本語学校を中心に経験を積まれたわけですね。

S)ところがある時、ふっと私は海外での日本語教育経験がないんだ、と気づいたんです。なので外国で教えようと考えるようになりました。ただその頃は授業も多く持っていたので、派遣がかなり先になるものでないと難しく、チャンスを探しているうちに、トルコの大学が労働ビザが下りるまで時間がかかることを知り、応募したところ、採用されました。

I)どのくらいトルコにはいらしていたんですか。

S) 2004年の10月から2007年の8月までです。

I)3年近くですね。

S)2年だと、赴任の年と帰国の年だけになっちゃうじゃないですか。なので、少し延長しました。

I)大学の場所はイスタンブールですか。

S) いいえ、そこからバスで6時間くらいかかる、チャナッカレという町にある大学でした。そこの教育学部の外国語学科、日本語教師養成の講座で講師として働きました。

I)初めての外国での日本語教育経験は、いかがでしたか。

S)学生はとても熱心に勉強するし、生活面でもいろいろ助けられました。みんな日本語を話したがるし、私も日本語で対応するのが仕事なので、ことばの面での不自由はありませんでした。つまり、トルコ語はほとんど上達しませんでした(笑)。あと留学生の送り出しも担当していたので、日本への留学政策も多少は勉強する機会がありました。

I)今のお仕事に役立っていますね。

S)はい、まあ多少は(笑)。

I)帰国後はどうなさったのですか。

S)日暮里の日本語学校で専任を勤めました。規模が大きい学校で、授業や教務などに忙しくしているうちに、ある先生からJLCの公募のことを聞き、2015年からお世話になっています。

I)今まで教えてきたお仕事と比べて、JLCのお仕事はいかがですか。

S) 新しく覚えることが多く、戸惑うこともあるんですが、私は進学指導や学生のキャリア形成を含む、進学予備教育というのにとても興味があるので、やりがいを感じています。

I)そうですか。では、これから日本語教師を目指す方に、何かメッセージをお願いします。

S)そうですね...。昔、ある学生からこんなことを言われました。「学生はひとたび先生が自分たちの前に立てば、その先生が自分たちをどう思っているか、どんな人か、必ずわかるものだ」。それを聞いて、素直な気持ちで誠実でいることがこの仕事では大事なんだな、と考えるようになりました。このことばを贈りたいと思います。

I)今日は長い時間、ありがとうございました。

S)こちらこそ、ありがとうございました。

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