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教員インタビュー

2014年4月、JLCは新しく2名の専任教員を迎えました。
先月の石澤徹先生につづき、今月は清水由貴子先生のインタビューをお届けします。

第17回 清水由貴子先生

コーパスなら「ないもの」でも探せます

インタビュアー(=Q):まだJLCの仕事に慣れてらっしゃらず、お忙しいことと思いますが、今日はありがとうございます。初めにお生まれと、子ども時代のご自身についてお話していただけますか。
清水専任講師(=A):出身地は、静岡県の島田市です。子どものころは、そうですね、何でも完璧にやらなくちゃという気持ちが強い子供でした。どの科目もそこそこできるほうでしたけど、特に好きな科目というのはなかったように思います。あと、島田は田舎だったので、外の世界に出たい、という気持ちは強かったですね。

Q:そうですか。では中学・高校時代はどんな生徒だったんですか。
A:地元の高校に進んで、英語やピアノが好きな生徒でした。音楽もクィーンとかが好きでした。でも高校生活を普通に送っているうちに、先ほど言ったように、どうしても広い外の世界が見たくなって、一念発起して、短期留学をしました。

Q:どちらにいらしたんですか。
A:イギリスです。

Q:ロンドンか…バーミンガム、ですか。
A:それが…バース (Bath) というところです。お風呂の語源になった町です。行ってみると、クラスで日本人は私一人で、あとはけっこうヨーロッパ中心で、留学生がたくさん来ていました。で、そこでいろいろ日本のこと、日本語のことを聞かれるんですが、これがもう全然答えられなくて、自分は本当に日本のことを知らないんだな、と痛感しました。

Q:じゃあ、その経験で日本語教師を志したとか?
A:そうです。その時から今まで、一度も決心は変わっていません。

Q:大学も、地元ですね。
A:はい、静岡大学の教育学部で、当時、総合教育課程・国際言語文化教育コースというのがありまして、英語か国語か社会のいずれかの免許が取得できるところで。そこで、国語教育と日本語教育を学びました。初めは卒業して、JICA(国際協力機構)の協力隊で日本語教師をしたいと思っていたのですが、やはり大学院でさらに学びたいと思い、大学4年の10月になって、名古屋大学の大学院の試験を受けることにしました。

Q:それはまた親御さんも驚かれたでしょうね。
A:ええ、うちは両親が学校の教員をしていたんで、教員の家庭の常で自分の子はわりと放任なんですが(笑)、それでも地元の教職に就くだろう、と思っていたみたいで…。

Q:名大にしたのは、学部からの研究を継続したかった、ということですか。
A:そうですね。学部の卒論のテーマは無助詞だったんですが、わりと文法を突き詰めることが好きだったんで、名大では国際開発研究科の滝沢直宏先生(現・立命館大学)に指導教員になっていただきました。

Q:言語コーパスで有名な先生ですよね。
A:それが入学するまでそれを知らなくて(笑)。でもここでコーパスを利用した文法研究の基礎をじっくり仕込まれました。

Q:日本語教育の実践も、大学院時代からですか。
A:最初の仕事は、名古屋大学の付属高校に、名大に来ている研究者のお子さんが通っていたんですが、国語や社会が分からないというので、日本語というより教科指導のボランティアをしていました。

Q:じゃあ本格的な教育経験を積んだのは、その後なんですね。
A:そうです。博士後期に進んでから、韓国の大学で約3年教えました。

Q:名大の先輩の大津先生と似ていますね。
A:そうですね。大津先生がいらしていたところとは違うんですが、前任の先輩が戻られるというので、その後を引き継いで行った感じです。

Q:それで3年たって、復学なさった、と
A:ええ。当時は教えるのがすごく好きになって、いくつかの大学で日本語学や社会言語学とかの講義を持ち始めたんですが、研究のほうはこのあたりから何か足踏み状態になってしまって、テーマも無助詞からあれこれ変えてみたり…。

Q:あぁ、確かに専門外の目で見ると、助詞が「ない」んじゃ、コーパスで探せないですよねぇ。
A:いいえ、コーパスなら「ないもの」でも探せます(きっぱり)。

Q:あぁ、失礼しました(汗)。…で、まあ、テーマをお変えになったと。
A:はい、それで杉村泰先生にご指導を受けて、博士論文を終えました。その後、日本大学の非常勤講師を経て、この4月からJLCにお世話になることになりました。

Q:なるほど。では今後したいことや、抱負などを最後にお聞かせください。
A:はい。よく夢がかなってよかったね、と言われることもあるんですが、本当にスタートラインに立ったばかりで、まだ「日本語教師のプロ」にはなっていないと思います。毎日の授業で出てくる学生たちの質問に耳を傾け、どんな小さなことでも真剣に考えて対応していきたいと思います。そして、専門分野に限らず何にでも興味を持って勉強し、本当のプロになりたいと思っています。

Q:なるほど。今日は忙しいところ、ありがとうございました。
A:こちらこそ、ありがとうございました。

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