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教員インタビュー

このページでは1ヶ月に1回、当センターの教員へのインタビューや、センターが研究・開発中のプロジェクトに関する情報提供を通じて、国内最大の留学生教育機関であるJLCTUFSの「いま」を伝えていきます。
今月は1年コースご担当の大津友美専任講師へのインタビューです。

第15回 大津 友美 専任講師

より精緻な会話分析を求めて

インタビュアー(=Q):今日はお忙しいところ、ありがとうございます。初めにお生まれと、子ども時代のご自身、それから愛読書についてお話していただけますか。
大津専任講師(=A):生まれは愛知県の尾張旭市というところです。6歳のときに、隣の瀬戸市に移って、大学までずっと同じところです。子供の時は…大人しい子だったと思います。特別にこれといって好きな科目もなく、普通に勉強していたという感じです。愛読書は特別になかったのですが、学校のクラスで流行っているものは、いちおう抑えておこうか(笑)、という感じでした。

Q:じゃあ中学や高校までは、まだ日本語教育への関心とか芽生えはなかったのですね。
A:ええ、全然。大学も英文科でしたし。

Q:英語がお好きだったのですか。
A:いいえ、全然(笑)。私、その頃は中学校の教員になりたかったんですが、当時は学校の先生の採用がすごく厳しくて、国語科や社会科は倍率がすごく高かったんですね。でも英語の倍率はさほどでもなかったので、そうか、と思って。だから英語では苦労しました。

Q:実際に教育実習にいらしたりしたのですか。
A:ええ、母校ではない、別の県立高校に行ったのですが、先生の仕事は教えるだけではなくいろんなことがあるし、自分には難しすぎるかなあ、と。その時ちょうど、大学での勉強がおもしろくなってきていたので、大学院に進むことにしました。

Q:それは英文学関係なのですか。
A:いえ、ゼミは談話研究をしているところでした。ブラウン・コーパスとか学生でも自由に使えるコーパスがあったので、それらを使って勉強していました。卒論も会話を録音して、研究したものです。

Q:その研究を続けるために大学院に進んだわけですね。
A:そうです。院では日本語の会話を分析しました。指導教員は尾崎明人先生で、博士修了までずっとお世話になりました。私がやりたい研究テーマについてお話したら、それなら君は研究と日本語教育、二足のわらじで進まなければいけないね、とおっしゃられたことが今でも印象に残っています。

Q:日本語教育は大学院からお始めになったのですか。
A:はい、博士後期からです。学部時代にロンドンなどへホームステイに行き、そこで簡単な日本語を教えてほしい、といわれたことがあって興味はあったのですが、本格的に始めたのは、後期課程を2年間休学して、韓国の釜山外国語大学校で教えたのが初めです。

Q:それは、有給のお仕事だったのですか。
A:そうです。ほとんど未経験で始めたことになります。週に15コマ、日本の大学でいうと7.5コマです。あまりうまくは出来なかったのですが、あたたかく見守っていただいたというか、そういう点では、とても感謝しています。

Q:ご帰国後はどうされたのですか。
A:博士後期を満期退学してから、非常勤の仕事をしながら論文の直しを1年かけてしていました。それから名古屋大学の国際言語文化研究科で助教の仕事をして、そこを経てこのセンターに来ました。

Q:大津先生は、偶然、伊集院先生と同じ時期に有名な徳川宗賢賞(社会言語科学会で特に優れた論文に与えられる賞)を受賞してらっしゃいますね(2004年度受賞、論文の題名は「親しい友人同士の会話におけるポジティブ・ポライトネス-『遊び』としての対立行動に注目して-」 )。
A:ええ。自分の論文が選ばれるなんて考えたこともありませんでしたから、受賞のお知らせをメールで頂いたときは、びっくりしました。

Q:伊集院先生とは、その時初めてお会いになったのですか。
A:お名前は存じていましたが、お会いしたのは初めてです。

Q:それからこのセンターに来て、もう4年ですね。現在は、研究のご関心は、どのあたりにあるのでしょうか。
A:そうですね。ずっと会話の研究をしているのですが、今は特に留学生と日本人学生の会話を分析することに関心があります。あと、センターに赴任したからかどうかは分からないんですが、分析のアプローチも少しずつ変わってきたように思います。

Q:具体的には、どのような点でしょうか。
A:何かこう、もっと小さいところにこだわって見ていきたい、というのがあります。ポーズひとつにも、何か理由があるはずで、より精緻な分析が求められてきているな、と感じます。

Q:今日はお忙しいところをありがとうございました。

インタビューを終えて─

センターで最も新しく赴任した教員の一人である大津先生は、終始落ち着いた物腰で、ことばを選びながらインタビューを受けてくださった。英文科なのに英語が苦手、会話研究は偶然、と謙遜した面持ちでお話しくださったが、現在では英語の会話分析もなさっているように、巡り会わせでと選んだものはきちんと貫いてご自分のものにしている、スマートな力強さを感じた。時間があったら研究の方向性など、もっと詳しく聞きたい話が多く、次の機会が楽しみになるインタビューだった。

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