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教員インタビュー

このページでは1ヶ月に1回、当センターの教員へのインタビューや、センターが研究・開発中のプロジェクトに関する情報提供を通じて、国内最大の留学生教育機関であるJLCTUFSの「いま」を伝えていきます。
第6回は1年コース・大学院ご担当の楠本徹也准教授へのインタビューです。

第7回 甕 隆博 准教授

数学は国際的に最も標準化された学術分野です

インタビュアー(=Q):今日はお忙しいところ、ありがとうございます。最初に、故郷と少年時代のご自身を教えていただけますか。
甕隆博准教授(=A):生まれは長野県の松本で、大学院の修士課程までずっと信州にいました。小学校の時は…そうですね、同級生にちょっと変わった友人がいて「どうして三角形の内角の和は180度なのか」とか言う人で、少し影響を受けました。中学校以降でもまあだいたい理系の科目が好きで、中でも特に数学が好きだったので、数学を専攻することにしました。

Q:そうですか。影響された本などはありますか。
A:数学の本というわけではありませんが、白戸三平の「カムイ伝」は好きで今までに何回も読み返しています。他に社会科学系、歴史の本なども好きで、以前はけっこう読んだものです。

Q:ありがとうございます。では、大学に入ってからのことを教えていただけますか。
A:大学では良い先生に恵まれて、今でも続けている研究の方向を示していただきました。当時は教員になりたかったのですが、もう少し研究してみたい、ということでそのまま修士課程に進みました。恩師とは共同で研究したりして、お世話になり、結局、博士課程まで進むことになりました。

Q:そして博士課程に進んでから、センターにいらしたわけですね。
A:そうです。博士は筑波に行ったのですが、そこでビルマ(現ミャンマー)の留学生と知りあって仲良くしたことが、今の仕事につくきっかけの一つだったかもしれません。まあ、昔も今もそうですが…今はもっと大変かな…数学で大学の専任を見つけるというのは大変でしたから、ここの公募は貴重なチャンスでした。

Q:数学の研究をなさっていた方がいきなりたくさんの留学生に囲まれる、というのはカルチャーショックはなかったですか?
A:それほどでもありません。先に赴任していらした理科系の先生がいらっしゃいましたし、それに実は数学って、いちばん国際的に標準化している学問なんです。数学記号や解法は万国共通と言っていいですから、違いは…そんなに感じないですね。これはカリキュラムを含めても、同じことです。

Q:そうですか。これは余談で伺いたいんですが、数学っていう分野は、たとえばご研究の分野での、古い文献というのは、もう役に立たない、使えないものなんでしょうか。
A:いえ、そうではありません。意外に有用なものです。というのは、ある分野の研究の初期というのは、まだ研究の方向性が定まっていないため、こんな方法もある、あんなやり方もある、といろいろ試行錯誤しているので、その発想や考え方はもう方法が確立した今から見ても、とても新鮮です。

Q:そうですか。では、これからのJLCの方向性について、専門教育の立場から、何かお考えになることはありますか。
A:そうですね…日本語教育という視点を、広い意味の「留学生教育」にしていくことは、必要じゃないかと思います。留学生に対して日本語を出来るようにすることはもちろん大切ですが、日本で留学生を教えるというとき、もっと幅広い視点が求められると思います。数学で言えば、和算などは日本独特のものですから、そういうところも紹介したり教えたりする場があれば面白いと思います。まあこれは、1年から1年半くらいいるような、短期留学の留学生を念頭に置いているんですが。

Q:ありがとうございました。では最後に、ご自身の研究で目指すところや抱負がありましたら、お話いただけますか。
A:研究は、いまやっていることを継続していきます。また留学生に対する数学教育も、もっといろいろな視点から考えていきたいですね。

インタビューを終えて─

本学は、英語一辺倒に傾く世の大学の風潮に抗して「世界教養」というキーワードで教育を考えようとしている。同じパースペクティブで、JLCが甕先生という数学者を擁していることは、日本語教員しかいない通常の留学生機関と比して、貴重なことではないかと感じた。留学生教育は日本語教育からだけでは語れないが、このことを指摘し、ご自分の専門から実践していける教員は、日本でもほんの数名しかいないはずだ。それを誇りに思えるインタビューだった。

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JLCTUFSは、日本語スタンダーズの研究などを行う、世界の日本語教育の中心的な拠点です。

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