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教員インタビュー

このページでは1ヶ月に1回、当センターの教員へのインタビューや、センターが研究・開発中のプロジェクトに関する情報提供を通じて、国内最大の留学生教育機関であるJLCTUFSの「いま」を伝えていきます。
第3回は留学生のカウンセラー・アドバイザーである宮城徹准教授へのインタビューです。

第3回 宮城 徹 准教授

実践家になる人は頭より体から入ろう!

インタビュアー(=Q):今日はお忙しいところ、ありがとうございます。まず、先生のお仕事は日本語の教員ではないので、一般の方には少々分かりにくいかと思います。お仕事の概要を簡単に説明していただけますか。
宮城先生(=A):そうですね、僕の仕事はこの大学に来る留学生たちが、日本という環境に慣れて、十分に集中できるようになる、そのためのサポートをすることです。具体的には、このセンターだけではなく、学部や大学院の留学生に対して、アドバイジングやカウンセリングを行っています。

Q:ありがとうございます。では他の先生への質問と同じ通常の質問ですが、お生まれと、それから先生の子ども時代について教えてください。
A:生まれは、東京の渋谷区渋谷です。子どものころはとにかくスポーツが好きで、特に球技が得意でした。中学では、そうですね、しいて一冊といえば吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』を読んで、自分の生き方を考えるようになりました。その後、まあよくある青年期の悩みにどっぷりとはまったのですが(笑)、逆にこういうふうに悩むのは自分だけではないはず、と考えて、悩みを持つ人の手助けができないか、と思いましたが、このあたりが今の仕事につく大きなきっかけになったように思います。

Q:その後はどうされたのですか。
A:大学はICU(国際基督教大学)で、臨床心理学を専攻しました。卒業後は大学院に進み、1年で中退して、最高裁判所家裁調査官になりました。家庭問題の調査をしたり、非行少年の心理を調査したりする仕事です。この仕事で足利市にいたとき、ボランティアであるタイの方に日本語を教える機会があり、日本語教育にも興味を持ちました。そして退官後にオーストラリアに渡り、本格的に日本語教育や異文化間教育学やコミュニケーションについて勉強することになりました。

Q:滞豪は何年だったのですか。
A:結局、7年になりました。モナシュ大学に行き、ここで日本語を教えながらマスターを取り、メルボルン大学で常勤で日本語を教え、ラトローブ大学で博士を取りました。

Q:現在の研究の関心は、どのあたりにあるのですか。
A:いろいろな経験を積んで分かったのですが、僕は教授法とか、スーパービジョンということに興味があります。ですので、いちばんの興味・関心は教育場面や教育現場における異文化間コミュニケーションということになるでしょうか。

Q:本学の大学院でもそのあたりをご担当ですね。
A:そうです。総合国際学研究科・国際社会研究コースで異文化間コミュニケーションを教えています。

Q:ありがとうございました。最後に、これから異文化間臨床心理学を学ぼうと思う人、異文化間カウンセラーを志す人に対して、何かアドバイスがありましたら、お願いします。
A:そうですねえ…留学生たちにはいつも、日本をフィールドに走り回れ、フィールドワーカーたれ、と言っているんですが、日本人の方にも…あの、頭ではなく、体から入ることが大事だと思います。今の世の中、何か分からないことがあればグーグルやウィキペディアがありますが、それで答えは得られても、答えを考え出すまでの個人としての経験やプロセスがそこにはないでしょう? 机上の勉強も大切だけど、それ以上に現場を体で知る、体で覚えることが何より大切だと思います。

インタビューを終えて─

宮城先生がお示しになった『君たちはどう生きるか』は周知のベストセラーだが、それを読み、実際に人を助ける仕事を志し、ついにはその仕事―しかも異文化の壁を越えて―に就いてしまうところに、宮城先生の地力というか、柄の大きさが見えるインタビューだった。またストレートに学問・研究の途を究めた人とは違う、人間的な滋味は質問の間中にずっと感じられた。天性のものなのかどうかは分からないが、これもまたカウンセラーには不可欠の資質なのではないだろうか。

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センター事業・プロジェクト

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