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教員インタビュー

このページでは1ヶ月に1回、当センターの教員へのインタビューや、センターが研究・開発中のプロジェクトに関する情報提供を通じて、国内最大の留学生教育機関であるJLCTUFSの「いま」を伝えていきます。
第2回は全学日本語プログラム(JLPTUFS)コーディネーターの藤森弘子教授へのインタビューです。

第2回 藤森 弘子 教授

教えたという結果より教えるプロセスを大切に

インタビュアー(=Q):今日はお忙しいところ、ありがとうございます。初めに、お生まれと故郷、それから少女時代のご自身についてお話いただけますか。
藤森教授(=A):生まれは大阪です。浪速女ですね(笑)。中学・高校時代は国語と英語が好きで、純文学、川端康成とかをけっこう読んでいました。

Q:日本語教育に目覚めたきっかけを教えていただけますか。
A:大学2年のとき、夏期研修でオーストラリアのいろいろな大学、メルボルン大学やANU(オーストラリア国立大学),それにモナシュ大学などに行ったのですが、そこで外国語として日本語が学ばれているのを初めて見て、びっくりしました。芥川の作品を語劇でやったりして、面白いなあと思い、帰国してから大阪YWCAの日本語教師養成講座に通い始めました。

Q:そこで教壇デビューも果たされたわけですか。
A:大学4年のときに、台湾のYMCAで教えたのが最初です。台湾YMCAとフレンドシップのある神戸YMCAで国際交流活動をしていました。ネイティブの女性教師が来た、というのでけっこう話題を集めましたよ。1日に3コマ、初級から上級まで15コマ教えていて、けっこうハードでした。

Q:そのままずっと日本語教育に携わっていらしたのですか。
A:いいえ。私が学部を卒業したころは、まだ日本語教師というのは社会的に認められた職業ではなかったし、勤め口がたくさんあったわけでもありませんでした。そこで外資系の銀行でOLをしていたんですが、外銀って残業がないので、夕方はビジネスマンに日本語を教えたりしていました(笑)。まぁ、日本語を教えるという興味を自分の中でつなぎ続けてきたわけです。その後、家族の転勤にともなって名古屋などに住んだのですが、当時入管法の緩和や留学生10万人受け入れ計画なども始まって、仕事はバンバン来る時代でした。名古屋では日本語学校や大学で、週に12コマぐらい非常勤講師をすることができました。名古屋大学で非常勤をしていたときは、水谷修先生(名古屋外国語大学長)や土岐哲先生(京都外国語大学教授)など著名な先生方の講義に出させていただいたりして、とても有意義でした。その後、子連れで大阪大学大学院に入り、博士後期課程を経て、このセンターに来ました。もう14年目になります。

Q:14年間、JLCでお仕事をなさって印象的だったことはありますか。
A:そうですね。このセンターには他にないユニークなプログラムが多くありますので、それらに関われたことは日本語教師として本当に幸せでした。たとえばREXで知り合った先生方とは今でも交流がありますし、REX研修を受け持ったことが、大学院の授業でも役に立ちました。

Q:現在はどんな研究に関心がおありですか。
A:私は中間言語語用論、第二言語習得といったあたりをずっと研究してきたのですが、最近では、教材開発研究にいちばん興味があります。

Q:ありがとうございました。それでは最後に、これから日本語教育を志す方や、日本語教育の道に入ったばかりの方に向けて、メッセージをお願いいたします。
A:はい。私は、授業が楽しい、と思える人こそが、この仕事に就くと良いと思います。仕事を探すとなると、どうしても「~をした」「~で教えた」という結果で語ってしまうことが多いのですが、やはり日本語教育の醍醐味は「教える」というプロセスそのものにあるように思います。結果も大切ですが、学習者と過ごしていく過程を楽しんでいただきたいですね。

インタビューを終えて─

本当はキャリアや研究のお話をたくさんしていただいたのだが、ページの都合上、割愛しなければならなかった部分が少なくない。印象的だったのは何と言っても最後の質問に対するお答えで、形に残る業績や結果をつい求めてしまう、経験の浅い(もしくはない)若い人たちには参考になるアドバイスではないだろうか。藤森先生のことばの端々からは、ご自身はそのプロセスを十分に楽しんだ上で、研究や教材開発に取り組んできた、という静かな自信がうかがえた。

JLCTUFSについて

JLCTUFSは、「日本語教育研究の世界的な拠点」を目指して活動する、国内最大級の日本語教育機関です。

教育プログラム

国費留学生や短期交換留学生など多様な留学生を受入れ、充実した日本語教育プログラムの提供を目指しています。

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JLCTUFSは、日本語スタンダーズの研究などを行う、世界の日本語教育の中心的な拠点です。

センター事業・プロジェクト

JLCTUFSでは、日本語教育研究に関わる、多種多様なプロジェクトを企画・推進・実施しています。

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