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教員インタビュー

このページでは1ヶ月に1回、当センターの教員へのインタビューや、センターが研究・開発中のプロジェクトに関する情報提供を通じて、国内最大の留学生教 育機関であるJLCTUFSの「いま」を伝えていきます。
第1回は国費学部進学留学生予備教育プログラム(1年コース)の責任者である伊東祐郎教授へのインタビューです。

第1回 伊東 祐郎 教授

透明性のある開かれたテスト研究に向けて

インタビュアー(=Q):今日はお忙しいところ、ありがとうございます。初めに、お生まれと故郷、それから少年時代のご自身についてお話いただけますか。
伊東教授(=A):生まれは岐阜県の恵那市です。生家は、燃料の販売を手広くしていました。中学校までは英語と数学が好きでした。将来、外国へ行ってみたかったので、特に英語はよく勉強しました。

Q:日本語の教え手という仕事に就いたきっかけは何なのですか。
A:大学を卒業してから旅行代理店に勤め、それから一般企業に転職しました。その企業にいた時、会社派遣で名古屋YWCAがやっていた日本語教師養成講座に通ったのが最初です。水谷修先生(現・名古屋外大学長)や故・大坪一夫先生(元筑波大学教授)など、そうそうたる講師陣でした。それからアメリカの大学で日本語を教え始め、通信教育の番組制作に関わったりしました。このセンターに来たのは1992年で、もう18年になります。

Q:実際のご経験から、この仕事の面白いところはどんなところだとお考えですか。
A:そうですね、やはり日本語の母語話者としての直観や内省をそのまま活かせるのが強みであり,面白さではないかと思います。母語をとことん突き詰めて考えることができるのが、この仕事のいちばん面白いところではないかと思います。

Q:現在の研究テーマを教えていただけますか。
A:今の研究テーマは、一言で言うと「外国語のテスト研究」です。テストというのは、限られた時間や制約の中で、学習者の外国語能力を正確に測ることが期待されています。そのために信頼できるテストとは、妥当性の高いテストとは何かということを考えたり、現行の日本語のテストを分析したりしています。日本の教育現場などでもそうなのですが、多くの場合、テスト作成というのはベテラン教師の勘や、いわば「職人芸」に頼るところが大きく、科学の入る余地が余りありません。しかし学習者にとって能力を測定されることは、ただ点数や成績が付けられるというだけではなく、自分の能力を社会に認めさせるための大切な機会なのですから、もっと客観的であるべきだし、透明性を持った開放的なものであるべきだと考えています。

Q:テスト研究をすると、社会にどのような還元ができるのですか。
A:まずテスティングの理論は、言語を問わずほぼ共通していますので、日本語教育でのテスト研究をすることは、そのまま英語教育を初めとする他の外国語教育に役立てることができます。私自身、日本語のテスト研究で用いる文献は、ほとんど英語教育のものです。もう一つは、日本の学校のテストや評価に対する意識や実践の改革ができる、ということです。さまざまな講演や授業で評価法について話す機会があるのですが、これからは開かれた、透明性を持ったテスト文化に向けての啓蒙も行っていきたいですね。

Q:ありがとうございました。最後に、これから日本語教育や評価法の研究を志す人に対して、何かアドバイスがありましたら、お願いします。
A:はい。日本語教育は、ことばと人に興味がある方であったら、誰でも面白いと思える領域だと思います。人との出会いを大切にして、自分の興味を追求していってください。

インタビューを終えて─

お話にあったとおり、伊東先生は国内外を問わずに基調講演やセミナーに出かけている。5月には中国とフランス、6月は名古屋、7月は函館と言った具合だ。それは言語教育や評価法の専門家としての力量を買われているだけではなく、まさしくお話にあったように「人とのワクワクするような出会い」を先生自身が貪欲に追い求めているからではないだろうか。

JLCTUFSについて

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JLCTUFSは、日本語スタンダーズの研究などを行う、世界の日本語教育の中心的な拠点です。

センター事業・プロジェクト

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